建設業の許可には営業所の場所や規模によって許可の種類が異なります。
また許可申請者が法人か個人事業主かで注意するべき点もあります。
それでは、建設業にはどのような種類の許可があるのかをみてみましょう。
「大臣許可」と「知事許可」
建設業許可には「大臣許可」と「知事許可」があります。
「大臣許可」と「知事許可」のどちらになるのかは営業所の場所によって決まります。
営業所とは、「常時見積もり、契約、金銭の受理など建設業の請負契約に関する重要な行為をする場所」のことを指します。
単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所などは、ここでいう営業所には該当しません。
大臣許可
大臣許可は、2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合です。
例えば、沖縄県と福岡県に営業所をもうける場合などは大臣許可の申請をします。
知事許可
知事許可は、ひとつの都道府県内にのみ営業所を設ける場合です。
ひとつの都道府県内に2つの営業所を設ける場合も知事許可の申請をします。
例えば、那覇市と宜野湾市に営業所を設ける場合は知事許可となります。
この許可の区分は営業所の所在地のみですので、営業地域は関係ありません。
例えば沖縄県知事許可の建設業者が鹿児島県で建設業の営業をするように全国で営業することは可能です。
「一般建設業許可」と「特定建設業許可」
建設業の許可には、請負う工事の規模によって「一般許可」と「特定許可」があります。
一般建設業許可
一般建設業許可とは、許可を受けた業種の建設工事を受注できる許可です。
建設業の許可が不要な軽微な建設工事以外の建設工事を受注する場合は建設業の許可が必要になります。
軽微な建設工事とは
軽微な建設工事とは以下のように規定されています。
【建築一式工事】
工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
- 「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
- 「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
【建築一式工事以外の建設工事】
工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
特定建設業許可
「発注者から直接建設工事を請け負う」ことを「元請」と言います。
元請の建設業者が4,000万円以上(建築一式の場合は6,000万円以上)の工事を下請に出す場合、「特定建設業許可」が必要になります。
下請業者がさらに下請に出す場合は金額に関係なく特定建設業許可は必要ありません。
下請け業者が孫請け業者に4000万円の工事を出したとしても一般建設業許可で可能です。
特定建設業許可が必要な業者は、あくまで元請として工事を請け負う業者ということが前提となります。
「法人」と「個人事業主」
建設業の許可は法人でも個人事業主でも取得は可能です。
株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、協同組合、事業組合などいずれの形態でも建設業許可の取得は可能です。
個人事業主の注意点
個人事業主として建設業許可の取得は可能なのですが、少し注意が必要な点もあります。
どのような点に注意するべきなのかをご説明したいと思います。
その許可は事業主に帰属するという点です。
事業承継
個人事業の場合は、許可を承継することはできません。
万が一、個人事業主として建設業の許可を取得されていた方がお亡くなりになられた場合、許可は失効してしまいます。
事業を引き継ぐ方が新たに許可を取得しなければなりません。
許可を取得しないといけないということは、事業を引き継ぐ方が許可要件を満たしていなければいけませんので、必ず事業を引き継ぐ予定の方が免許を取得できるとは限りません。
法人成り
個人で取得した建設業許可は、株式会社などの法人を設立した場合にそのまま引き継ぐことはできません。
個人で受けた許可を一旦廃業して、改めて設立した法人で許可申請をする必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
建設業の免許にもいろいろな種類があることがご理解いただけたかと思います。
特に、個人事業主で許可を取得するか、法人で許可を取得するかは将来のことも考えた上で慎重に決められることをお勧めします。